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番外編① 泡沫の恋心-01

Penulis: あさの紅茶
last update Terakhir Diperbarui: 2025-03-04 05:00:52

ドキドキと心臓が音を立てる。

聞こえないはずなのに耳に響いてくるよう。

「き、杏介さんっ」

「ん?」

さっきから杏介さんは私の頭を撫でたり頬を撫でたりと手つきが優しい。……というよりあやしい。

そのたびに私はビクッと体が反応してしまって……。

あああ、嬉しいんだけどこの先に待ち受けてるコトを想像して体が熱くなる。

っていうか、落ち着け私。

こんな初心者丸出しで大丈夫だろうか。

上手くできなくて杏介さんに幻滅されないだろうか。

「紗良……」

杏介さんに名前を呼ばれ顔を上げる。

甘くて艶を含んだ瞳で見つめられ、より一層心臓がドキンと音を立てる。

ギシッとベットが歪んで私は押し倒される寸前。

あわわわわっ。

えっと、えっと、どうしてこうなったんだっけ?

杏介さんと結婚すると決めてから、いろいろなことを同時進行しながら準備をしていた。

お母さんはまだ入院しているし海斗もいるし、杏介さんとはなかなか休みも合わなくて。

だけど杏介さんが「二人で指輪を買いに行こう」って誘ってくれて。

そんなわけで私が平日に休暇を取って、海斗を保育園へ預けた直後からデートしていたわけなんだけど――。

無事に指輪も選んでウキウキとしていたら、「紗良、俺のマンション来る?」って言われて「うん」って答えた。

そういえば杏介さんの家に行ったことなかったし、一人暮らしってどんな感じなんだろうって興味もあったし。

だけど杏介さんのマンションに近づくたびに、「あ、もしかして……」と気づいちゃった私。

むしろなんで今まで気づかなかったんだろうって、自分の鈍感さを恨んだ。

そしたらもう、心臓バクバクしてきてやばい。

口から出そうになってた。
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